部屋を貸すときは、一般媒介、専任媒介、専属専任のどれがいい

部屋を貸すときは、一般媒介・・の画像

賃貸用物件を借りてくれる人を探してもらうときに、誰しも迷うのが、その依頼の仕方です。

一般媒介か、専任媒介か、はたまた専属専任媒介がいいのか?

どの仲介方法がいいかは、ネット上でも意見が二分されているところです。
それもそのはず、実は、物件によって最適な方法は異なってくるので、一概にどれがいいとは言い切れないのです。

ここでは、このあたりのことをかなり掘り下げて書いていきますので、今まさに悩んでいる人は、以下の本文をじっくり読んでください。


一般媒介、専任媒介、専属専任媒介とは

まずは、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の説明です。
分かり切っている人は、ここは飛ばしてください。

大きく分けると、
「一般媒介」と「専任媒介・専属専任媒介」 の2つに分かれている感覚です。

一般媒介、専任媒介、専属専・・の画像

この2つの一番大きな違いは、

一般媒介、専任媒介、専属専・・の画像

一般媒介は、複数の不動産屋に依頼できます。

一般媒介、専任媒介、専属専・・の画像

専任媒介・専属専任媒介は、1社のみにしか依頼できません。

さらに専属専任媒介は、自分がお客さんを見つけることも許されません。

不動産屋から見ても専任媒介と専属専任媒介はさほど違わないので、専属専任媒介は専任媒体とほぼ同じと考えていいと思います。

では、一般媒介と専任媒介をもう少し詳しく見ていきましょう。

一般媒介 専任媒介
他に頼めるか他社もOK この会社のみ
不動産屋からの報告定めナシ 2週間に一度
レインズの登録定めナシ 依頼から7日以内
期間定めナシ 3ヶ月
手数料相場家賃1ヶ月+消費税 家賃1ヶ月+消費税

※ レインズとは、国が主導している不動産取引データベースで、不動産業者だけが登録閲覧できるものです。

というのが一般的によく言われている一般媒介と専任媒介の違いですが、
実は、ここからが大事なのですが、
不動産屋から見た一般媒介と専任媒介の違いも知っておくべきです。というかここからが重要です。


不動産屋から見た一般媒介と専任媒介の違い

まずおさえておきたいのが、
ほとんどの不動産屋は、専任媒介で物件を預かりたいと思っています。
それはそうですよね。ライバルの不動産屋がいないほうが、とりっぱぐれがないですから、どの業者も専任で扱いたいと思っているはずです。

不動産屋に行って「不動産を貸したいのですが」というと、専任媒介の契約書が出てくるのが普通です。

普通の物件の場合は、借りてくれる人を探すのに不動産屋もそれなりの労力をかけます。
物件情報のチラシを作ったり、自社ホームページやポータルサイトに登録したり、お客が来店すれば物件までお連れして内覧させたり、それだけやっても他社に取られてしまうかもしれない物件だと、なかなか本気で営業活動できないのも分かる気がします。


不動産屋が一般媒介を嫌がるこれだけの理由

さらに、一般媒介は面倒なことが起きやすいのです。

内覧も一苦労

不動産屋が一般媒介を嫌がる・・の画像

一般媒介では、複数の不動産屋に依頼するので、不動産屋がカギを預かれないケースが多いです。
するとお客さんが内覧希望をされても、大家に連絡してカギを借りる必要があるのですが、たまたま大家が外出などしていると、カギを借りれずにせっかくの内覧の機会を逃してしまうことも多発します。

募集中なのかわかりにくい

不動産屋が一般媒介を嫌がる・・の画像

さらに一般媒介で起こる悲劇としては、その物件を気に入ったお客がいて紹介しようとすると、実はもう別の不動産屋で成約していたなんてことも頻繁に起こります。特に引越しシーズンの3月にはタッチの差で他社に持っていかれたなんて日常茶飯事です。

こうなると仲介手数料が入らないことはもちろんですが、不動産屋のメンツも立ちません。もう埋まっている物件を紹介していたことになるからです。

これは仲介をお願いする僕ら大家側の意識にも問題があるのですが、何社も一般媒介で依頼を出していた場合、お客が付いたことを依頼したすべての不動産屋に遅滞なく連絡することを怠る大家さんも少なくないです。

そうすると、もう入居者が決まっている物件を不動産屋は掲載し続けるようなことが起きてしまいます。

募集賃料が高すぎる

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一般媒介の募集賃料の決め方は、複数の不動産屋を回って、一番高い募集賃料を言ってくれた業者に合わせることが多く、往々にしてその賃料は相場より割高になっています。

すると当然、決まりにくいので積極的にお客に紹介することはなくなります。

大家にとって、もっと悲劇的なのは、内覧のときに数社見せる際に、
まず、あなたが一般媒介で依頼した物件を内覧させ、
次に、よりよい条件物件を内覧させて、さっきの物件よりもお家賃も適正でいいでしょうと、
他の物件を推すための「引き立て役」のように扱われることもあります。

そうなると内覧はあるもののなかなか決まらなくなります。


一般媒介は大家も大変

大家からみても一般媒介は手間がかかりますし、思わぬ面倒にも巻き込まれやすくなります。

募集条件変更が大変

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厄介なのは、募集家賃を下げる場合です。
なかなか入居者が決まらないとき、礼金を無くしたり家賃を下げたりと募集条件を緩和していくのですが、この連絡が依頼したすべての不動産屋に行き渡らずに、複数の条件の募集広告が出回ってしまうこともあります。

この原因は、大家サイドが連絡を怠っていたケースと、すべての不動産屋に連絡したけど、その広告の修正に時間がかかってしまうなどが原因になります。とくに紙ベースのマイソクと呼ばれる物件資料は、一度出回るとなかなか修正がリアルタイムでは伝わらないものですので、このよう複数の条件の募集広告が同じ時期に出回ってしまう原因にもなっています。

入居希望者から見たら、同じ物件がこの不動産屋のサイトとこちらのポータルサイトで家賃が違っていたりすると、なんかこの物件って大丈夫なのと懐疑的に見られなかなか決まりにくくなるので、このような混乱はできるだけ避けたいところです。

「さらし物件」になりやすい

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またネット業者が勝手に広告を量産してバラまくのも問題です。
依頼した不動産会社に掲載されている物件の情報をコピーしてバラまく業者がいます。

一見いいような気がしますが、どこを見ても同じ物件情報がずっと見かけることになるので、売れ残り感が半端なくあります。「あ~またこれ?」という感じで、いわゆる「さらし物件」になりやすいです。

また先ほど説明したような条件変更にも対応できませんから、条件が違う募集広告が残ることにもなってしまいます。

専任媒介でしたら、正式な依頼を受けた不動産屋がネット業者に文句を言ってコピー広告を取り下げることができるのですが、一般媒介だとそもそもどこから取ってきたのか分からないので、そのまま放置されることが多いです。

思いつくまま書いていたら一般媒介の面倒な点が思いのほか沢山でてきてしまいました。
ここまでの話をまとめると、

  • 普通の物件を貸すときは、
  • 専任媒介がいい

ということです。


一般媒介がいい場合もある

ただし、一般媒介のほうがいい場合もあります。
それは、

あなたがお持ちの物件が、
人気物件の場合です。

お客が我先にと入居希望を出すような物件の場合は、一般媒介で広く募集したほうがよい入居者、よいテナントと巡り合うことができます。

いままで一般媒介で起こる不具合を書き連ねていましたが、貸そうと思っている物件が人気物件の場合は、まったく逆の状況が展開されます。

人気物件の場合、不動産屋の意識はこうなります。

  • ・労力や広告費を使わずにすぐ決まるので手がけたい
  • ・他の業者より早く決めるために片手取引でもいい
  • ・大家に気に入られれば専任の元受けになれるかも

一般媒介にすることで、各不動産屋にいい意味での競争意識が芽生え、よい入居者、よいテナントをより早く紹介するために各社とも取り組んでくれるようになりやすいのです。


人気物件は専任媒介にしないほうがいい理由

さらに、人気物件を専任媒介にしないほうがいい理由も説明しましょう。
これ意外に思われるかもしれませんが、人気物件を専任媒介していると、逆に決まりづらいケースもあります。

不動案屋の収入の仕組みが原因

不動案屋の収入の仕組みが原因なので、簡潔に不動産業界の収入構造を説明します。

不動産屋には、2パターンあって、


人気物件は専任媒介にしない・・の画像

大家から客付けを頼まれた不動産屋をよく「元付け業者」と呼びます。


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入居者を連れてくる業者を「客付け業者」と呼びます。


物件の賃貸が決まったときに、元付け業者は大家から1ヶ月分の家賃相当を仲介手数料としてもらいます。
と同時に、客付け業者も入居者からら1ヶ月分の家賃相当を仲介手数料としてもらいます。

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それぞれ自分が連れてきたお客から手数料をもらうこのパターンを「 片手取引 」といいます。

もし元付け業者が、自分で入居者を見つけた場合は、その業者は元付け業者でもあり客付け業者でもあるわけで、
物件の賃貸が決まったときに、その業者1社が大家から1ヶ月分の家賃相当、入居者からも1ヶ月分の家賃相当額の仲介手数料をもらえるのです。

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1つの取引で収入はなんと2倍になります。
これを「 両手取引 」といいます。

特に、商業物件で家賃が200万とかするような物件でしたら、1つの取引で400万もの仲介手数料が手に入ることになります。

そうであれば、人気物件のテナント付けの依頼を受けた不動産屋は、是が非でも自社でお客を探したいと思うのも理解できます。

つまり、家賃が高い人気物件ほど、専任で依頼を受けた不動産屋は、他の不動産屋との連携を取らなくなるのです。
自社のホームページやお店に来店した人などかなり限られた人にしか物件が紹介されないことになります。

こうなると人気物件なのに、なかなか決まらないとか、あまり評判のよくないテナントを紹介されてしまうなどの事態が起きてしまいます。

専任媒介の理想のイメージは、専任を受けた元付業者が広く客付け業者をコントロールして、大きな市場からその物件にあったお客を紹介するものなのですが、、、

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人気物件を任された専任媒介の現実は、

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元付業者が外部の客付け業者との連携を拒み、自社のみで入居希望テナントを探そうとします。

これが人気物件を専任媒介で任せたときの最大のデメリットです。

何度か同じ業者に専任媒介で依頼し続けていると、この状況がどんどん強化されてくるので、なかなか決まらなかったり、決まったとしても少々問題のある入居テナントだったりと専任の悪い面が多くみられるようになりがちです。

では、人気物件を一般媒介でお願いしたときはどうでしょうか?

普通の物件では様々なデメリットがありましたが、それらすべてなかなか決まらない事に起因するものでしたので、すぐに入居者が決まる人気物件であれば、一般媒介の普通のデメリットはほぼ払拭されます。

さらに、業者間の競争になるので、営業活動にも力が入り、入居者の質の面でも、よい方に決まりやすいです。

  • 部屋を貸すとき、「一般媒介」か「専任媒介」かの結論
  • 普通の物件なら、専任媒介
  • 人気物件なら、一般媒介

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